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[T102] 「ストリートビューというサービス開始の日ー爆発的に増殖する深刻な問題を見つめて」(8):北口学

Googleストリートビューと部落差別というタイトルで人気の高いブログにこの連載のことなどご紹介いただきました。 「崎山伸夫のBlog」と...

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[C35] インターネットのこわさ

全国に広がる前に このサービスは阻止しないと日本は多くの危険と問題が噴出しそうでこわいです。ネットの恐ろしさがストリートビューの機能で巨大になっていくようで恐いです。この連載だけが信頼出来る感じで楽しみに読んでいます。がんばってくいださい。
  • 2008-09-04
  • 三重の海岸
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「ストリートビューというサービス開始の日ー爆発的に増殖する深刻な問題を見つめて」(8):北口学

Googleストリートビューと部落差別というタイトルで人気の高いブログにこの連載のことなどご紹介いただきました。
「崎山伸夫のBlog」というサイトなのですが、
http://blog.sakichan.org/ja/
http://blog.sakichan.org/ja/2008/08/24/gsv_and_buraku_discrimination
閲覧者の多い人気サイトのようでございます。鋭い論調やネットに関する興味深い記述も多いサイトで光栄なことと思います。崎山さんには本当に感謝申し上げます。私よりもネットの国際的な情勢などに精通された方だと思っておりますし、ストリートビューの問題に関して部落差別の事柄に留意されお調べされたという事から当サイトをお読み下さったということ、冷静に研究者に問い合わせされて追記を書かれる姿勢など、当方の有る意味情熱的すぎるかなぁ?という語り口に赤面してしまうほどです。
 崎山さんがお書きになっている
「ただ、これはGoogleがオプトアウトであることも問題だが、悪意は別のところから来ているのですべてをGoogleのせいだというわけにもいかないかもしれない。」
 という部分には「そうなんだよねぇ」と深いため息をつくわけです。そして、崎山さんが「Googleストリートビューと部落問題ってひょっとして・・・」とお調べになったように、ネット上における「部落差別記述」とストリートビューの関係は巨大掲示板「2ちゃんねる」の「雑談2・人権問題」コーナーなどに代表されるように深刻な状況となっているのも残念なこと現実なわけです。
 その崎山さんの懸念は真実でありました。その実態は悲惨です。お知り合いの研究者の方がおっしゃるようにGoogleストリートビューの表示画面情報だけを見る分には、「当該都市のストリートビューで部落を識別できる状況にはない。」とは言えるのですが、「被差別部落の地域の画像情報をこのスレッドに書き込んで行きましょう」という趣旨の場所にストリートビューの画像を指し示すURLが書き込まれ続けており、閲覧されているという現状の深刻さは、被差別当事者たちには耐えられない事ではないかと思えます。
 「中途半端に知られている地名で余計な心配をしてしまったのかもしれない。」とお書きになっておられます。無責任な匿名掲示板への書き込みはすべてが正確な情報とはいえないでしょう。同和関連の法律の期限切れ以降、いわゆる被差別部落の中にある同和問題への対策事業として建設された公営住宅に被差別部落出身者以外の人々も入居するケースが生まれてきたり、同和対策として運用されてきた体育館や施設がその限定を取り払い使用されている現状、転居転入などの移動もあると聞いています。行政によって指定されている同和地区内に住宅が不足し結婚独立した人々が地域内に住宅を得ることが難しく周辺の一般住宅や賃貸マンションに暮らす出身者も多くなっている所もあるのではと思えます。しかし、実際は被差別当事者の心を苦しめ、実際の被差別地域の地名が単に被差別部落の人々の心を苦しめ、差別を振りまくためにだけ書き込まれている実態も無視できるレベルではないかと思えます。
 研究者のおっしゃるようにGoogleストリートビューの公開情報には「このエリアが被差別部落地域」という表示はありません。しかしながら別サイトで山のような差別書き込み、ストリートビュー画像URLが膨大な分量で公開され過去ログも蓄積されています。Googleストリートビューの機能を活用し、ストリートビューのサイトを指し示し閲覧を促すという事実が多数見受けられます。そのようなスレッドが継続して行るという現状の悲惨さは現実問題として進行しているわけです。
 不正確で無責任な匿名の地名書き込みがどれだけ多くの人々の心を傷付け続けているのかという現実、削除要請を出す人々の心を「あぽーん」と表示される文字を見つめるたびに思われ胸が痛くなってしまうのです。
 不正確な地名情報をネットで閲覧して鵜呑みにしてしまい、新たなネットが生み出す「被差別地域」なるものが生まれて一般化・固定化してしまうのではないかという危惧すら抱いてしまいます。なんと下らない「差別」というものがネットにはまん延していることかと深いため息が出てしまいます。
 つらつらと書いてきましたが、それらの現状から研究者の方がおっしゃる「ストリートビューの画面では」というお言葉はその通りと思いますが、決してGoogleストリートビューの機能を利用し生み出されている匿名掲示板での書き込みの諸問題、重大性は、「ストリートビューと部落問題」という点にひっかかれた崎山さんのお言葉や発想通り、日本の「部落問題」の上で依然無視できない事柄、深刻さだと思います。ここ10年以上もネット上での差別の深刻さは当事者たちが多く声をあげ、書籍でも出版などされてきています。(「あいつぐ差別事件」解放出版社など)を始め大手メディアでもたびたび報じられてきているとおりでございます。
 青少年や若い世代の人々はネットを活用する人々が今後も増え情報源としてのインターネットの重要性は今後もさらに増大してゆくと考えられます。今後、被差別部落というものの情報源として、そして若い世代が現在も深刻な部落問題に初めて出会うきっかけがネットであったり、興味本位で「自分の近隣の被差別部落ってどこだろう?」とインターネットから誤った知識を得て行くことへの危惧はすでに現実となっているような気がします。このあたりは当事者の人々の声や教育現場で同和教育などに関わってられる人々の積極的な発言を期待したいところですが、インターネット創成期の「パケット通信における差別記述」問題時代から、動物愛護運動や巨大掲示板での差別書き込みの長年の状況を見ていると、身元暴きの恐怖心や心無い暴言の書き込み集中攻撃を浴びてしまう当事者ならではの恐怖心があるのではないかと想像しています。ここ数年のメディアの取材不足や歴史的経過を知らないジャーナリストなどの行き過ぎたと思える「同和バッシング」の影響も大きいと思います。日本のインターネットにおける人権状況というのは在日韓国・朝鮮人の人々、障がい者の人々、アイヌ民族の伝統的儀式への差別的書き込みなど本当に悲しい気持ちになってしまいます。
 崎山さんのブログの筆致や確認を取られるという誠実さを読ませていただいて私自身の連載が気持ちを溢れさせたスタイルかな?と苦笑反省気味でありました。
 私の連載はGoogleストリートビューの出現で表出してきたデジタル時代における文化情報分野についての言及を意図して開始したものなのですが日々現出する新しいネット上での悲しい状況、出来事のため、なかなか本論に入れず真正面から「部落差別」の問題を書き続ける事態となっております。
 自分のスタイルや現在の連載内容の現状を自分なりに考えてみますといくつか思い当たることがあります。
 インターネットへの愛情という部分、そして私の人生の上で出会ってきた人々への想いとでもいいましょうか。
 1990年代初頭から世界中の教育者やNGOの人々が普及し始めたインターネットを活用して遠隔地や貧困層、世界中の少数民族の子どもたちへの教育をどうしようかと論議するネットワークに参加していて、世界の力と経験を結集してネットで教材を、教育方法エンパワーをして行こうという国際的なネットの躍動感に感動してきた経験が愛情の起点となっているのでしょう。そのような国際的なネット上での交流や潮流が「ウィキペディア」というネット上の百科事典へと発展してきたことは梅田望夫氏のご著作などでもよく知られたことです。
 彼の最近の著作『ウェブ時代5つの定理』では、
 『・・・利用者の分布を見てゆけば、やはり英語圏が日本語圏に比べて「本名@所属する組織」の文化に偏った利用者の広がりを見せています。「2ちゃんねる」の隆盛も含めて「匿名性の方向に偏った文化」は日本人が選び取った特別な文化なのだと思います。この「匿名性の方向に偏った」日本語圏ネット空間に特有の文化が、ネットの持つ豊饒な可能性を限定し、さまざまな「良きもの」が英語圏ネット空間では開化しても日本語圏では開化しないのではないかと、最近はそんな危惧を、強く抱いています。』(『ウェブ時代5つの定理』梅田望夫著2008年3月文芸春秋 223ページ)
 と、述べられています。まったく同感です。
 海外取材や「人権」を巡るネット報道などで、少数民族や被抑圧者の人々がインターネットを活用することでどれほど有意義な情報にアクセスできるようになったのか、どれほど人権擁護にネットが活用されているのかを実感するここ数年でもあります。チベットを巡る当事者たちからのネットへの情報発信やオリンピック開催でお祭り気分の中国のウィグル地方でどのようなことが進行しているのかなどを見てもつくづくネットの持つ力を思い知ります。
 インターネットの力や世界の少数民族のインターネットへ向ける期待や現状などは海外取材・調査研究を踏まえて毎日新聞の2008年5月9日の文化欄「デジタルアーカイブ 世界で進む構築と公開 地域文化を保存するために 人材養成が急務」と題して書かせてもらいました。また、ネット上でのデジタル人権メディア情報を配信する「人権ジャーナリストの会」メールマガジンを見ても近年の重要性が色濃く現れていると想います。ネット上の差別記述は非常に深刻な大問題ではありますが、同時にはるかに広大で豊かな可能性と豊饒な知の世界であるインターネット世界への可能性と期待を私は強く持っていると思っています。

 インターネットへの愛情はGoogle社にも向けられている、いや、アメリカに本社を持つGoogleという企業への期待にも直結しているような気持ちがします。だからこそGoogleストリートビューに関する原稿を書こうと思い、ネットで公開しているのかも知れません。無意味と思っていれば書く意欲も失せてしまうでしょう。期待感があるからこその苦言とでも申しましょうか。
 60年安保や70年安保、学生運動などに遅れてきて記憶すらない私達の世代は、私のように支持政党もなく、セクトなどにも無関係、所属組織もなく生きてきた世代です。「ヒロシマ・ナガサキ」などに代表される反戦・平和教育を起点に「水俣」を代表とする公害問題に大きく影響をうけ、青年期には「そよかぜのように街にでよう」というメッセージで登場した障がい者運動に新鮮な衝撃を受けた記憶があります。
 少数者の人権や運動、ノーマライゼーションや男女平等、性的少数者への差別禁止やアファーマティブアクション、先住民族問題や公民権運動など、多くの事柄を学んできたのはすべてGoogle社が生まれたアメリカという国なのです。人権と差別を許さない、少数者の権利擁護に全力で取り組むというアメリカは80年代に青年期を迎えていた私の師匠のような存在の国だといえるでしょう。
 80年代にロスアンジェルスやサンフランシスコのそれらの息吹の洗礼を受けた私には、「カッコーの巣の上で」、「ハーヴェイ・ミルクの日」、「ダンス・ウイズ・ウルブス」、「サラフィナ」、「遠い夜明け」などのいくつでも思い浮かぶ私に大きな影響を与えたアメリカ映画とアメリカの良心への期待と信頼があるような気がします。
 「アムネスティ・インターナショナルやヒューマンライツ・ウォッチを生み出したり育てたアメリカという国、全世界の人権運動への大きな影響力を持つアメリカという国から生まれたGoogle社」という私の認識は、グローバリゼーションと国際戦略という時代に甘さがあるのかもしれません。しかし、東京でのジェシー・ジャクソン師や、ニューヨークでの映画監督のスパイク・リー氏とクリスティン・チョイ氏、アメリカ各地で出会った障がい者自立生活運動を推進したり、マイノリティ権利擁護運動を展開していた人々との出会いの記憶や映画が私にアメリカの良心の存在を信じさせてくれるかもしれません。

 差別というものが無くなってくれればいいなという素朴な気持ちで一杯になります。そしてGoogle社は日本の悲惨なネット上での差別実態に対した効果的な敬意と称賛に値するようなアクションを一刻も早く起こしてもらいたいと痛切に思います。
 差別のない社会、人々が差別を無くしてゆく方向での言論や動きをしてゆくことが素敵なことと思っています。


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