一昨日開催されたMIAU主催‘’「ストリートビュー」はどこが問題かMIAUシンポジュウム‘’に関するネット報道が注目を集めました。Impress Watchの記事が8月28日18時35分、ヤフージャパンの「テクノロジーアクセスランキング」第3位に登場しているとヤフーニュースにありました。
上記をインターネットを介して読んだ人がとても多いということはGoogleストリートビューというサービスへのインターネットユーザーからの関心の高さ、プライバシー問題内包の認知の広がりが背景にあるように思えます。
「Google ストリートビュー」約7割がプライバシーの侵害に不安抱く・・・・ブロガー向け情報サイト「ブロッチ」の調査結果発表も午前中に公開され目を引いた一日でした。
http://blogch.jp/up/2008/08/28100106.html
MIAU「インターネット先進ユーザーの会」とは、彼らの公式ページを参照すると「違法サイトからのコンテンツダウンロード違法化への反対意見集約などを目的とする任意団体。」と説明されています。
http://miau.jp/ (MIAU公式ページ)
MIAU公式ページでシンポジュウム開催告知が数日前にされた時からとても関心を持って出来るなら参加したいと思っていたものですから、当日の内容のネット上報告を心待ちにしておりました。本日、MIAUのホームページでで閲覧できる報告の数々が紹介されていました。所用で参加できなかった私にはありがたいことです。MIAUのことは、種々のネット規制等に対して以前からネット上で反対表明やアピールなどをしているのを見かけから関心を持って見つめていた組織の一つです。そしてこれは非常に重要なシンポジュウムとなり注目も集めるだろうなと思っておりましたが、アクセス・ランキング3位というすごさには正直驚きです。
このシンポジュウムに関する報道の数々をMIAUホームページなどからピックアップしてみました。
http://snowland.net/nucleus/?itemid=1967
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/08/28/20682.html (主婦連の河村氏のコメントが良いと思いました)
http://sho.tdiary.net/20080827.html#p01
(ただただしさんのHP)
http://d.hatena.ne.jp/kagigotonet/20080828
(岡田有花氏の報告と問題点整理)
http://blogmag.ascii.jp/kodera/2008/08/28122151.html
http://shinyai.cocolog-nifty.com/shinyai/2008/08/miaugoogle_live_dba3.html
一番会場の論議の流れを掴めると思えたのは敬和大学人文学部国際文化学科准教授で
人文学部でコンピュータやメディア論を教えながら、サイバー法を研究されている先生の下記のHPでした。
「ICHINOSE BLOG MIAUシンポジウム「Google ストリートビュー"問題"を考える」:Live Bloggingの実験」
と、題されたページで生き生きとした会場の様子な論議が読める素敵さです。「新潟県新発田市の敬和大学から。サイバー法、アジア文化、ネットワーク社会、その他個人的思い入れまで。」と題されたHPにあります。
http://shinyai.cocolog-nifty.com/shinyai/2008/08/miaugoogle_live_dba3.html
(岡田有花氏の報告と問題点整理)のHPもすっきりと綺麗にシンポジュウムの内容を記述してくださっており読みやすいと思いました。
一番、心情的に「うんうん」とシンパシーを持てたのは(ただのただしさんのHP)でした。
MIAUという組織は、
「・・・・既存のシステムを守るための制度が、技術の発展を制限しない環境。我々は、以上のような環境を実現するために、インターネットやデジタル機器等の利用者から意見を集め、政策サイドに対して政策提言を行う。」
と公式HPで述べているように、できる限りの法的や制約や規制に反対意見を述べる活動・啓発を行なっている組織のようです。
インターネットの素晴らしい発展や表現の自由は私も願っていますし、検閲や安易な法規制には注意深くあるべきだという考え方でもありますが、新たなテクノロジーや法整備の遅れが重大な人権侵害を生み出すことへの留意と継承、差別のない社会をという考え方で連載し、重要視している私のスタンスからは、「規制反対の活動も解るけれど、必要と思える配慮・規制必要な部分もある。」という想いも持ってMIAUの活動を見ています。
一党独裁や軍国主義、思想や表現の自由が保証されていない社会での規制や抑圧への反対は大切なことです。しかしながら、急激に発達するテクノロジーに対して、あるいは科学技術に対して、そのネガティブな部分や問題点にはきっちり目を向けて必要な規制やルールを構築してゆくのは大切なことと考えています。
その意味においてパネリストの八田氏の主張は驚愕もののだと思いました。多くの問題があり、諸外国の対応や訴訟、工夫の説明が冒頭に津田氏からなされているにも関わらず、また、「Googleストリートビューの問題を考える」というタイトルのシンポジウムであるにも関わらず、「何が問題なのか解らない」という発言でそう思ってしまいます。びっくり!でも、これはきっと「論点が鮮明にならないと来場者が楽しめない」とわざとセンセーショナルな発言をなさり論争点を生み出し、シンポジュウムを有意義な時間にと損な役回りをしてくださった・・・・と理解しようと(汗)。
「インターネット・ウォッチ」が報じたシンポジュウムを伝える報道記事でも伝えられているその他のパネリスト、主婦連合会常任委員でITや著作権関連の分野を担当する河村真紀子氏、Winny事件弁護団事務局長で弁護士の壇俊光氏、専修大学准教授で日本ペンクラブ・言論表現委員会の委員長の山田健太氏らの発言は現在までのネット上や欧米からの報道を俯瞰し整理する意味でもフムフムという感想でしょうか。
また、インターネットに慣れ親しんだ人々の意見が反映されている発言や報道が多い中で、河村氏の発言がコンピューターに縁の遠い人々(日本の多数派)の意見を代弁し寄り添っている一番一般的な正当な意見、感覚と思えます。
匿名掲示板に望まないURLを貼り付けられ、望まない付加情報を加えられて世界に公開される側から見て、PCモニターに映し出されたのは抽出された一枚の個人情報の満載された写真であることには変わりがないという部分を思います。
プライバシーや人権の意識の変化が一方であり、大量の情報を地域網羅的・機械的に撮影した編集の意図のない、前例のないサービスでもっと開始に慎重にあるべきであったという意見には同意します。「機械的に編集意図有る無し大量の情報を」うんぬんの論理は差別匿名掲示板での利用に悲しみ憤る人々に対しても私に対しても説得力がないように思います。
機械的に撮影して編集の意図がと言われてもまだまだコンセンサスの得られた状況だとは到底思えないのです。外国ではいいかもしれないが日本ではダメというサービスがあるのではという発言にもふむふむ。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/08/28/20682.html
ネットが簡略に報じるこのシンポジュウム報道は、ネットベンチャーやネット活用者がスポンサーや読者に多いからか、どうしても推進派の意見が大きめに取り扱われる傾向があるようですが、河村氏の意見などは私の連載のポリシーに近いかなと思えたりします。
このシンポジュウムの論議の流れやその報告が報道されることによって「Googleストリートビュー」問題の世論形成に大きな影響があるのではないかと事前に思っていた私にとって、マイノリティの人権と日本固有の部落差別の問題がどのパネリストの口からも触れられなかったことは残念ではありました。しかし、それは人権や部落差別の問題に言及、取り組もうとする人間が日本社会の中でもとても少ないということの縮図なのですから仕方ないのかな?と思ったり。しかしながらストリートビューサービス開始直後の産経新聞などでも身元調査や差別問題への懸念が報道されていたにも関わらず、スルーして「具体的なデメリットはない」という発言はちょっとちょっとと思ってしまいます。Google社への気遣いか恐れか、すり寄りか、サービス容認・継続のための少数者切り捨てでは?と思えます。
ロケーションビューというサービスもストリートビューが話題になるに従い注目されています。
しかし知名度がGoogleストリートビュー問題論議で高まってきたとたん「2ちゃんねる」など差別掲示板上に「ロケーションビュー最高!」と、悪質な書き込み、景観さらしに活用できるサービスだと書き込みが散見できるようになってきています。部落問題にとってストリートビューもロケーションビューもまったく同じ差別に活用されている野放しのサービスなのに、「うちは配慮がGoogleよりなされています」「苦情は一件も来ていません」という下記のコメントに驚きです。日本に合わせた対応が良かったといいながら部落問題や身元調査への懸念が報道されているのに自慢ばかり・・・。今までは単純に知名度が低かっただけですし、ゲストログインで閲覧はできましたが、メールアドレスを入力して正規登録しなければいくつかのサービスが受けられないということの面倒さからさほど一般化していなかったからではと思います。正直、私はロケーションビューサービスが始まった日からGoogleストリートビューサービス日本公開まで、日本では批判があるかどうかを調査するためのパイロット的な役割を担っているのか?と頭のどこかで思っておりました。ロケーションビューがおなじく深刻でクリアーしなければならない問題を抱えていることはなんらストリートビューと変わりありません。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0808/28/news032_2.html
http://www.locaview.com/top/aboutlv.html
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20080822.html
すべてが始まったばかりなのかも知れません。部落差別とストリートビューの問題の論議は。たとえば人数的には被差別部落の人々より遙かに少数の「ハンセン氏病」の患者さん達の反差別と権利擁護、名誉回復の運動は近年大きな前進を勝ち取ったように思えます。彼らの取り組みや闘いは始まったばかりの頃には小さな小さな運動であったのだと思えます。「Googleストリートビューと部落差別」の問題もまだ語られ始めたばかりだからなのだと思っていましょう。
私はこの連載をぽつぽつ書いてゆきますが、やはり当事者の人の想いや動き、このようなシンポジウムへ参加しての発言なども重要だなと改めて思えます。それが無かったのも残念なことですが、世論の動向がはっきりしない中で、差別の残る日本社会の中で、公開の場、メディアが注目する所に出ていって発言するという事は大変なことなのだとも思います。
「プライバシー」「部落差別」というアプローチ以外にも、このGoogleストリートビュー問題はまだまだ別に重要な切り口があり、語られることなく残されていると思っています。プライバシー問題にばかり焦点が当たっているのはGoogle社の戦略・戦術だろうというネットの書き込みもありました。私も同感です。ぼちぼち違った論点も交えて連載を続ければいいなと思っています。
新しいテクノロジーの発達や社会変動、内包する矛盾や欠点は一番最初に少数者、被差別者の上に、しんどいこと・厄難としては襲いかかってゆく、現れると思います。そして良いこと、うれしいことは一番遅れて。
いま、被差別やマイノリティの人々に襲いかかっているインターネット上の悲しい出来事は教育や啓発、メディアリテラシー、アファーマティブアクションのような取り組みがないと問題が深刻化し、
さらに私達の社会全体を蝕んでゆくように思えます。インターネットと市民社会の健全な発展のためにとても重要な時期と思えます。少数者の人権を守るシステムやルールは結局必要不可欠な多くの人々を守るシステムなのですから。
このシンポジュウムを巡る分析検討はさらに深めることもできる内容ですが、実際現場に参加できず、多様な情報にだけたよった今回、できるだけ多くの情報に触れましたが現場東京にいなかったということが不満足で残念。できるだけ誠実に各レポートを読みましたが、その限界からも今回はさらっと批評的に。いままでの9回の連載とダブる部分も多くなりがちですし、もしも皆様がこれまでの連載を再読していただければ幸甚です。今後の連載内容にてさらに引用や検討を加えながら広がりと深化させててゆきたいと思います。
(つづく)
おまけ;下記の書籍が「ミクシィ」サイトで紹介されていました。
楽天市場より
http://item.rakuten.co.jp/book/4012113/
勝手に撮るな!肖像権がある!増補版
村上孝止
青弓社
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
街頭の「防犯」ビデオ、事件の容疑者や被害者の顔写真、高速道路での記録撮影—。監視カメラに包囲され、カメラつき携帯電話でいつでも・誰にでも撮影が可能な現代社会でプライバシーとともに侵されやすい肖像権の確立を、民事・刑事の膨大な裁判記録を整理して提起する。
【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに—撮影・公表についての各国ルールの概観(早々と判例を作った国=フランス/肖像の保護には消極的な国=イギリス ほか)/第1部 刑事法廷で生まれたルール(警察官による撮影から始まった/無断で撮影できる場合がある ほか)/第2部 民事法廷で生まれたルール(肖像は無断撮影・公表から守られる/撮影・公表の承諾に必要とされる条件 ほか)/第3部 法廷の外で生まれたルール(「お貸し下げ写真」から代表取材へ/公人のプライバシーにかかわる写真 ほか)
【著者情報】(「BOOK」データベースより)
村上孝止(ムラカミタカシ)
1933年、愛媛県生まれ。早稲田大学文学部卒業。主な職歴は、日本新聞協会審査室長、マスコミ倫理懇談会事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
[C37] MIAUのシンポいってきたけど・・・・