日本全国各地で母親たちが子どもの通学路の安全を、続発する幼児・児童への不可解な通り魔事件という世相を反映しているから危惧している。通学中の児童の姿が平然と映し出されネット上に公開されているストリートビューの無神経さに、手作りのチラシを校区保護者に手配りを始めた保護者も増えてきている。校長名で保護者宛に「ストリートビューで家屋、家族の画像が公開されていないかご注意を」とのプリント配布されているところもあるという。近年、プライバシー保護や名簿流出への危惧から保護者名簿すら作成をしないし、防犯上の理由から児童の登下校ルートは公にしないというのが当然の時代となってきている。
今後、「Googleストリートビュー問題」に対するこれら市民の動きは活性化してくるのではないかと考えている。この連載(14)で紹介したような地方議会の動きも、意見集約に時間のかかる地域ごとの自治会、町会、マンションなどの集合住宅などの動きもこれから多くみられるのではないかとも。
現在書店にて販売中の週刊「女性セブン」10月9日号にも3ページの特集が組まれ、茨木市の中村信彦市議のインタビューや、全国に広がりを見せている生中継、インターネット上の無料ウェブカメラ画像公開などプライバシーと人権を巡る問題点が取り上げられている。
9月27日付朝刊「朝日新聞 be」(全国版)では大きくカラーで「早急にロケーションビュー、ストリートビューの画像をチェックしましょう。自宅や家族の画像を」と紹介されている。
朝日新聞be欄では以下の投稿を呼びかけている。
「自分に関する映像がどのように公開されていたか、どう感じたかを編集部までお寄せください。郵送は郵便番号104−8011(宛先不要)朝日新聞be編集グループ、メールは、be@asahi.com 表書きや件名に ストリートビュー関連」と記入、連絡先を明記してください。」
インターネットにさほどなじみのない人々にとって「ストリートビュー」の機能や画質、地図情報との連動や容易にコピー保存ネット上での配布、転用ができるという事の危機感や危険性はなかなかピンと来ないことをいいことに、Google社やロケーションビュー運営会社は素人だましの詭弁のコメントを流している。いや、取材に対する回答も削除依頼数も、取材すらも拒否しているというGoogle社の姿勢に対して批判記事も目に付く。
ロケーションビュー社は「ストリートビュー問題」に関する取材で、「苦情は1件も来ていない、解像度も低く配慮をしてきた。」とネットでコメントが報じられていたが、1年前のGoogleストリートビュー米国サービス開始から注目し、それに続いて開始した日本国内のロケーションビューサービス開始直後から両者に注目し比較し、日本各地のロケーションビューの画像を見てきたが、私の印象では明らかにGoogleストリートビュー米国サービス開始直後の8ヶ所の公開画像に見られたプライバシーの配慮に比べてロケーションビューの配慮レベルはひどいものである。証拠として多くの画像を保存させていただいている。
Goggle社のストリートビューも全米120ヶ所以上の公開エリア拡大にしたがってどんどん撮影時におけるプライバシーや人権への配慮、写される側への配慮が希薄になってきた。その悪くなってきた様子をお手本に遅れて登場してきたロケーションビューという感想より、最初から「配慮」というものが希薄に感じられたロケーションビューの公開時の画像を。
たとえば、サンフランシスコの海岸のレストラン群は有名な観光スポットでだがGoogle社は人ごみを避けた開店前の人通りのほとんどない時間帯に撮影した画像を公開していた。が、ロケーションビューは真っ昼間の郵便局員や地域住民でごったがえす郵便局前の様子を平気で至近距離から撮影し公開していたのだ。サービスを開始した直後のロケーションビューの各地の画像などを眺めて開いた口が閉まらなかったことを思い出す。
ロケーションビュー関係者の最近のメディアでのコメントには吹き出すことばかりなのだが、「消防署や建設関連の公的機関も含めての利用もされている。有料で販売している画質はストリートビューよりも高解像度で鮮明」といったコメントには苦笑すら凍ってしまう。
ゲストでログインすれば誰にでも街並みの画像を公開するロケーションビューは許可なく我々のプライバシーを含んだ画像を、高画質でなぜ販売できるのだろうか?その販売された画像がプライバシー配慮や加工されているのかどうか画像を確認するすべもなく、なおかつ、防災や公的機関、企業が利用しはじめているからといってネットで低画質と言えども住宅地域までを含んですべて公開する必要性はどこにあるのかと思う。すべての街並みの画像などネットで公開する必要もなく、どの地域の景観画像データを保有しているかさえ解る地図があれば済むこと。クライアントにはDVDもしくはパスワード利用での利用契約地域の限定販売など取りうるべき配慮は何一つなされず、多くの人々の防犯やプライバシーへの危惧を無視して下手な言い訳としか言いようもない。また、Google社が行なっている「不適正な画像の削除申請」と同様の大切な機能も、ロケーションビューのホームページはうまく機能していないとインターネット上で批判の書き込みがされ怒りを買っている。
最近のメディアの報道やストリートビュー問題に危機感を持つ人々の動きによって初めてそのネット上の存在を知ったり、PCを起動・ネットに接続をしてみてGoogle社のストリートビュー・サービスを初めて目にしたという人々も多くなってきた。しかし、ストリートビューとロケーションビューのサービスに対する問題の深刻さはなかなか理解できないかもしれない。それは匿名掲示板との連動や無数に存在する画像掲示板、匿名の悪意に満ちたブログの存在の連動と膨大な量の恐るべきネット上の人権侵害の現実を知らないことが原因として考えられる。続発する個人情報の流出や漏洩問題にも密接な関係を持ち、増加するネット通販の利用者情報とも連動する地図・自宅画像情報という連関と懸念を知らないでGoogleストリートビューホームページの景観画像だけを見ても事態の深刻さは実感できないだろう(地図連動や撮影画像だけでももちろん深刻な問題だが)。それが深刻で重要なプライバシーや人権の問題であるにも関わらず、平均年齢の高いネットに不慣れな人々の多い自治会や人権団体、議会の反応を鈍らせ対応がサービス開始から遅れてもいる。これからだ。
Google社もロケーションビュー運営会社も、「無断撮影・無断公開」、欧州全域での反対運動やEUの姿勢、日本と同時にサービスがスタートした豪州でも続発する諸問題、豪マスコミでの賛否両論の沸騰、「メリットは被写体にほとんど無くリスクばかり増大する」、サービス内容は合法と一方的に言うGoogle社、しかし法的見解はあきらかに限りなくダークに近い、黒という法曹関係者の声のほうが多い、といった情報は伝えきれていない。撮影時の高画質のマスター画像を保管するGoogle社に対してそれを破棄すべしという欧州の動きはとても重要であるとも思える。
EUストリートビューサービスに対するコメント
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20373377,00.htm (日本語)
http://www.reuters.com/article/internetNews/idUSL1593011920080515 (英語)
豪州のプライバシー保護団体のページ
Australian privacy Foundation
APF Policy re Google StreetView
http://www.privacy.org.au/Papers/StreetView-0804.html
Google Street View already raising privacy concerns
http://www.freeaccess.com.au/Structure:%20/2008/08/07/google-street-view-already-raising-privacy-concerns/
道路視野すでにプライバシーに対する懸念を上げる(豪州)
英国のPrivacy International (PI)
http://www.privacyinternational.org/
上記団体と連動するNGO
http://www.gn.apc.org/
「ジャーナリスト・ネット」は「人権ジャーナリストの会」と共催で下記のシンポジウムを計画中です。
「ストリートビュー問題大阪シンポジウム」
ープライバシー・人権・ネット時代・Google社を考えるー (仮題)
10月27日(月曜日)
大阪綜合生涯学習センター(大阪・梅田)にて
夜 6時〜9時
第一研修室にて
〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-500 大阪駅前第2ビル5・6階
資料代 800円
高齢者、障がい者、高校生以下無料
(詳細は続報で)人権ジャーナリストの会 メールマガジン
http://archive.mag2.com/0000269496/index.html
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