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[C55] 他の人権との整合性を欠いた議論

意見書が採択されたと聞き、その議論の経緯を追ってたどり着いた次第です。
誠に勝手ながら意見を述べさせて頂きます。

本稿におきまして、グーグルストリートビュー(以下SVと略す)の危険性につきまして、プライバシー権侵害や差別助長の恐れが指摘されております。

しかしながら、インターネット掲示板等における被差別部落の記載のような差別行為自体を取り締まるべきであって、それを助長するという曖昧な理由によって、表現の自由を簡単に制約することは不適当であると考えます。助長するものをもって差別をなくすという手段は、逆に他の人権を著しく侵害し、不適当な結果を招くということに、十分な検討がなされておりません。

差別助長という理由だけであれば、SVを撮影するために必要となるデジタルカメラや自動車、インターネット技術なども全てこれを助長するものであり、広範な規制が及ぶことになりますが、こういった広範な規制をすることなく、なぜSVにだけ焦点を当てて差別助長という理由を持ち出すか、その限界については何ら述べられておりません。これでは特定サービスを名指しする規制であり、行政法上極めて問題がある行為です。

SVに限らずカーナビゲーションシステムで利用される地図においても、同様のサービスはスタートしており、中には自治体向けに販売されているサービスもあります。

公道上からの撮影について禁止するということであれば、このようなサービスに対しても当然規制がかかるわけであり、SVのみを狙い撃ち規制するのであれば、平等原則に反する規制ということになります。

また、公道上から住宅を撮影することがプライバシー権の侵害になるという考えについては、プライバシー権の定義から導き出せないものであり、不適当であると考えます。

住宅というものはあくまで所有権や賃貸借権の下で使用しているに過ぎない物(ぶつ)であり、この物と特定個人の情報が紐付けられているならともかく、そうでない単なる住宅写真を規制することはプライバシー権の定義からは導き出せません。

もしこのようなことを規制するとなると、公道上において撮影したスナップ写真であっても、住宅の所有権者や賃貸借権者により、一方的に禁止することができるわけですが、所有権者が権利行使をすることはできないとする著作権法の万国共通の理解からも、非常に乖離した規制が可能になります。つまり、刑事罰をも持つ著作権法の規制よりもはるかに重い公的規制を明確な法で定められていないプライバシー権に基づいて行使するという、極めてアンバランスなことを実現してしまうことになります。

以上のような問題点について、なんらこの場にて指摘されていないどころか、場当たり的な問題点の列挙と安直な法規制論が議論されているのみであり、法に関する理解を著しく欠いているように思料します。

差別などの行為は許されないものですが、これまで差別を受けてきたような人々の権利すらさらに奪いかねないのが、本稿における提言であり、今回の意見書についてもよくよく見直されることをお願いするものであります。
  • 2008-12-21
  • 公法学研究者
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特集 ストリートビューと人権(2):中村信彦・松村元樹・野々上愛

茨木市議会本会議質疑への想いと答弁、三重県からの情熱的原稿、高槻市市議の懸念など情熱の原稿。市議会公式ページの議事録も!
 この特集は「ストリートビュー問題」をテーマとする下記のミラーサイトにも転載しています。
 「Googleストリートビューは問題だなぁ」
 http://nostreet.exblog.jp/
 茨木市市議会傍聴報告詳細メモと解説は下記のブログでも提供中です。
 http://nostreet.exblog.jp/9231539/


● 「ストリートビュー問題について」
                        中村信彦(茨木市議会議員)

本年9月市議会の本会議で、私が一般会計補正予算に対する質問の発言通告書を提出しようとする直前に、8月5日から日本で始まったグーグル・ストリート・ビューという新しいサービスの存在を知りました。
そのサービスは一見大変便利で面白そうに見えましたが、その便利さとは裏腹に、プライバシーや肖像権の侵害など多くの問題を含んでおり、空き巣やストーカーなどの犯罪に利用される危険性もあるということでした。
 そのサービスの内容を知れば知るほど、このままこのサービスが日本で無批判に拡大していくことは極めて深刻問題だと思いました。
 聞くところによるとアメリカでスタートしたこのサービスは、カナダやヨーロッパの国々においては人権侵害の危険性があるとしてごく限られたエリアでしかサービスが行われていないとのことでした。
それなのに何故日本のように部落問題や在日コリア問題など重大な人権問題が存在している国で、このようなサービスが簡単にスタートしてしまったのかと愕然といたしました。
 私が知った段階ですでに大阪市内をはじめ茨木市周辺の自治体でもかなりの道路がネット上で公開されていましたが、幸い茨木市内の道路はまだ2割程度しか公開されておりませんでした。
一旦ネット上で公開されるとなかなかそのデータを完全に削除できないというのがインターネットの特性です。今の段階で茨木市行政として市民のプライバシーを守る立場で取り組めることは取り組まなくてはという思いで早速9月市議会の本会議の質問にこの問題を追加して取り上げることにしました。
これまでからインターネット上の2チャンネルのような匿名掲示板で、悪質な部落差別や民族差別の書き込みがありましたが、新たにこうしたサービスがスタートしたことで、匿名掲示板の差別的な書き込みにストリートビューの画像が悪用されるのではと心配していましたが、案の定サービス開始直後から同和地区などの画像を面白おかしく取り上げた差別的な書き込みがネット上で氾濫していました。何としてもこうした電子空間上における人権侵害に歯止めをかけていかなければなりません。
 9月の時点でこの問題を取り上げた自治体議会が全国的に見ても少なかったらしく、女性セブンや週刊金曜日、産経新聞などでも私が質疑したことを大きく取り上げていただきました。
 しかし最近では、このストリート・ビューだけではなく、同じくグーグル社のグーグル・マップの非公開で作成された個人情報を書き込んだ地図がネット上でかてに公開されてしまっているというさらに重大なプライバシー侵害の実態も明らかになってきています。
 茨木市議会では12月市議会で、インターネット上における個人情報の保護について、議会決議採択の準備を進めています。全国各地の自治体で、こうした決議や意見書が採択されることによって、この問題に対する全国の自治体と政府の取り組みが可及的速やかに前進することを切に望みます。

2008年11月28日

茨木市議会議員 中 村 信 彦 

http://www.nakamura21.com/ 市議のHP

・ ・・・・茨木市公式HPより 関連質疑と答弁・・・・
茨木市議会 議事録 
http://www.kensakusystem.jp/ibaraki/cgi-bin3/See.exe
2008年9月10日
平成20年 第五回定例会
2日目(9月10日)議事録
発言番号296番から316番
(関連部分抜粋)

 中村議員;最後に、大きな4点目でございます。ストリートビュー利用などによるインターネット上の人権侵害への本市の対応について、お伺いをいたします。
 ストリートビューにつきましては、まだ、動き出したばかりの問題でありますので、理事者や各部長はじめ、同僚の議員の皆さんもどんな問題なのか、わからない方も多いかと思います。お許しをいただきまして、その内容や何が問題なのかも具体的に示しながら、少し質疑をさせていただきたいと思います。
 ことしの8月の5日から、日本におきましても、グーグルのストリートビューのサービスが開始されました。地図上において、その地域の様子を画像で四方八方、閲覧することができ、行ったこともない場所も散策しているような感覚で、景色を閲覧できるというものであります。このサービスが開始される前から、このサービスによる市民のプライバシーの侵害、人権侵害への利用、犯罪につながる危険性が関係者の間で指摘をされておりましたが、案の定、サービス開始以来1か月ほどしかたっておりませんが、インターネットの掲示板2チャンネルなどにおきまして、ストリートビューを活用した差別や人権侵害など、悪質な書き込みがはんらんをいたしております。
 この問題は新聞各社でも取り上げられ、最近では9月2日に朝日新聞で大きく報道されました。画像には、個人の家や通行人、車、店、登下校中の子どもたちの写真などが本人に何ら許可もなく、インターネット上で世界中に配信をされております。
 これが画面をコピーした現物です。初めての方もいらっしゃると思うんですが、こういうものです。これよりも鮮明に個人の顔とか家の中の様子とか車のナンバーが写り込んでいるというものでございます。
 アメリカで始まったこのサービスですが、アメリカ国内でもプライバシー侵害訴訟が続発しているほか、カナダでは、プライバシー保護法に抵触するおそれがあるとして、サービス開始後すぐに公開が停止されております。また、ヨーロッパでは、市民のプライバシー、そして人種問題、人権問題などの観点で、EU委員会や各国で広く議論が続いておりまして、日本のように議論もなく、全面的なサービスをスタートした国は1つもありません。しかし日本では、公道、公の道からの撮影であれば、たとえ私の住まいが撮影されてもプライバシー侵害に当たらないというグーグル側の一方的な主張のもとに、国内に同和問題や在日問題といった人権問題を抱えているにもかかわらず、議論もないままに、このサービスが始まってしまいました。
 政府の文化情報立国構想の中核事業でありますデジタルアーカイブ構想や、史跡あるいは町並みのデジタル保存技術の普及において文化庁が毎年、改訂配布をいたしております著作権の実務関連資料などにおきましては、真っ先に人権擁護、肖像権、被写体の合意書面づくりなどが記述をされております。そのほか、文部科学省は委託事業や科学技術研究費助成、現在、GP事業における技術者養成におきましても、基本中の基本が人権への配慮だとされております。しかし、こうしたデジタル時代における肖像権やプライバシーの侵害につきましては、現行の国内法が追いついていないのが現状であります。
 政府として、この問題にしっかりと取り組んでもらわないといけないわけでありますが、地図情報と家屋などの画像情報、プライバシー情報満載のこのサービスがこのまま放置されれば、毎日のように報道されております続発する企業や行政、教育機関、医療機関などからの個人情報流出事件の個人情報、このサービスとの併用による多くの市民の不利益の可能性や、あるいは部落地名総鑑的な悪用をされたり、身元調査に使用される可能性も非常に高いわけであります。また、教育への深い懸念や悪影響、学校裏サイトなどでもいじめの悪用なども心配されます。
 それだけでなく、日本の住宅地のように、家の周りを塀で囲って、プライバシーを確保しているような場合におきましても、車の上2メートル50センチほどの高さで撮影をしておりますので、その塀を乗り越えて、敷地内の様子や窓越しに家の中の様子まで撮影をされています。空き巣の下見や、あるいはストーカーに使われるなど犯罪に使われる危険性も指摘をされております。
 茨木市内でも、山手台や国道171号線、桜通りとその周辺など、およそ市域の2割程度の地域が既に閲覧可能になっております。まず、こうした状況を市として認識されているのでしょうか。本市は人権擁護都市宣言をしてきております。茨木市民の人権侵害や犯罪に利用される可能性の高いこの問題について、国・府の対応待ちではなく、市の判断で取り組めることは、ちゃんと取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 以上です。

●人権部長;
 ストリートビューによる人権侵害への本市の認識と対応について、お答えいたします。
 ストリートビューにつきましては、観光地の情報取得や不動産業者の物件照会への利用など、便利な面もありますが、ご指摘のように、通行人の肖像権の問題や一般住宅の庭の中までも鮮明に写し出されるなど、人権侵害や犯罪にもつながりかねない面も持っております。
 茨木市もこのサービスの対象地域となっておりますが、山手台などの一部地域を除いて、幹線道路に限定されており、今のところ、この件での問題提起はされておりません。しかしながら、ケースによっては個人のプライバシーを著しく侵す危険性を持っているものと認識をいたしております。しかし、この問題は本市だけの問題ではなく、全国的な問題でもありますので、どのような対策ができるのか、研究をしてまいりたいと考えております。

●中村議員
 最後に、ストリートビューの関係について、質問をさせていただきます。このストリートビューの技術に対して、それ自体が問題だと言っているのではありません。教育や観光業、あるいは不動産業、その他への活用も期待ができるものであります。しかしながら、多くの市民のプライバシーの問題や差別的な意図、あるいは人権を侵害、犯罪に利用される可能性などがあることが大きな問題なわけであります。
 既に1か月ほどの間に、ストリートビューを利用した悪質な書き込みがネット上の掲示板にはんらんしております。先ほどの答弁では、市として、このサービスは、ケースによっては個人のプライバシーを著しく侵す危険性を持っていると、こういう認識だと答弁いただいたわけでありますが、人権擁護都市宣言をやっている本市でありますから、この問題につきましても、市民の人権を守る立場から、市として、できることは的確に対応するべきではないのかと思うわけであります。
 自宅や自分の写真などが勝手に世界に配信されていくわけで、茨木市内でも美沢町や東奈良の自治会では、既にこの問題が話題になっていると聞いておりますし、この問題に対する市民運動もいよいよ動き出そうとしているようであります。
 放っておけば、あっという間に茨木市内の隅々まで映像が、人権の配慮もないまま世界中に配信されていきます。しかし、こんな形で勝手に自宅や自分の写真がインターネット上で世界に配信されている事実を大半の市民は全く知らないのではないかと思うわけであります。まず、多くの市民がその存在や危険性、削除の方法などを知らない現状に対して、市として、こういう問題が起こっているということを周知する必要があるのではないでしょうか。実際、抗議をすれば、グーグルでこのように真っ黒に削除してくれるんですけれども、インターネットを見たことがない人は自分の家とか顔が写ってもわからないということであります。一たんアップをされますと、なかなか完全にデータを削除できないのがインターネットの世界です。幸い、今のところ市内の一部地域しかアップをされておりません。今ならまだ間に合います。まずは市として、グーグル社に対して、市民からパブリックコメントを行うなどして、市民の意向調査を把握するまでは市内の映像をストリートビューにこれ以上アップしないように働きかけるとか、一般住宅地などの生活道路には市民のプライバシーが侵害される可能性が高いので、撮影に入らないように申し入れるなどしてはどうでしょうか。また、市長会などを通じて、国として速やかな対応を求めるべきではないでしょうか。
 以上です。

● 人権部長  314(←発言番号)
 ストリートビューに関する市民への周知、また、グーグル社への働きかけについてでありますが、ストリートビューにおけるプライバシーの問題につきましては、サービス提供者のグーグル社が不適切な画像に対処する措置をとるとも聞いております。
 現在のところ、法的には問題ないと聞いておりますので、その危険性等の市民への周知及びグーグル社への申し入れにつきましては、今のところ慎重に対応してまいりたいと考えております。また、この問題は全国的な問題で、1市町村で対応できるものではありませんので、ご指摘のように、市長会等を通じて大阪府や国へ働きかけてまいりたいと考えております。

●中村議員  315
 最後に、ストリートビューの関係ですが、この問題は、まだ国内でのサービスが始まったばかりで、国や大阪府、各自治体とも、ほとんど対応できていないという状況だと思います。恐らく全国的に見ても、この問題を議会で取り上げて質問されているところは、まだほとんどないと思いますが、間違いなく、今後、大きな人権問題になってくると思われますので、市といたしましても、取り組めるものにつきましては、迅速かつ適切に取り組まれるように、指摘、要望いたしまして、質問を終わります。

     ・・・・・・・

●GOOGLE「ストリートビュー」
     松村元樹

2008年8月5日から、大手企業であるグーグル社はグーグルサイトの地図上において、その地域の様子を画像で、四方八方・360度を閲覧することができ、行ったことのない場所も散歩しているかのような感覚になれる「ストリートビュー」というものを日本にも導入しました。グーグル社の車の上部に特殊なカメラを取り付け、公道を走りながら撮影されたものがインターネットの地図上で公開されています。

まず、基本的な認識として公道(都道、道道、府道、県道、市道、町道、村道)から撮影されたものであれば、例え自分の住まいが撮影されていたとしても、現行法では肖像権の侵害やプライバシーの侵害にはならないようですが、これらについては法律の専門家によって、見解が異なっています。

グーグル社によって撮影された画像には人、車、家、店などが鮮明に写されていますが、人の顔や車のナンバーにはモザイクがかけられています。これらが、8月現在で日本では12の都市において、そのような画像がインターネット上で表示されています。
しかし、インターネット掲示板では、すでに部落差別や人権侵害に悪用されるケースも、8月5日から始まっています。

差別事象がどのように生じているのかと言えば、公道沿いにある被差別部落などの画像のURLを、掲示板上でその地名などを示すことで、まるでその部落を散歩しているかのように、家並みや町並みを確認し閲覧することができてしまいます。通常、他の地域と同様に閲覧する点について、プライバシーや肖像権の問題はついてきますが、特別に差別的な意図を持って利用されており、「町並みを拝見できるインターネット上の部落地名総鑑」が作成されても不思議ではない状況にもあると私は感じていますし、事実、大型某掲示板でそのようなことと関連をするスレッドがたち上げられてもいます。

今後、このままいけばグーグル社の車が12都市以外の地域の公道を走り、インターネット上で世界的に公開され、差別的な意図を持って、被差別部落の住宅や内部の様子が世界中のストリートビュー利用者や、これらの内容を扱う掲示板利用者に見られてしまい、部落差別と人権侵害の同時で被害を受ける人が出てくる可能性は十分にあります。また、部落差別に限らず、在日の人々に対しても同じような問題が生じています。


確かに便利で楽しいものですが、社会的弱者や被差別の立場にある人々を対象にストレスを発散してきた人物にとって、さらに差別を助長するための武器を企業が与えたと言っても過言でないかもしれません。一定の人権問題研修を積み重ねてきた人々であれば、このような悪用される可能性を十分に認識できていたはずでしょう。
企業自身の人権研修についても県内各地で取り組まれてきてはいますが、課題は山積していると言えます。

まだまだ取り組むべきことはたくさんありますが、グーグル社への申し入れとして、画像をコピーできない技術的対応、画像のURLのコピー及びリンク先からは閲覧できない技術的対応などといった、ストリートビューでのみ画像の閲覧可能という条件をつけていくことをまずは取り組むべきではないかと思います。

国外で起きている民事訴訟などを見ていても、技術的に人物そのものを画面から消すこともできるのに技術的処理をしていない、住宅の開口部から部屋の中が見られてしまうことについても、さまざまな術的処理を怠っていることで、国内でのさまざまなアンケートや調査についても、あまりよい印象を受けていない人が多いことに、結局はグーグル社がストリートビューを導入したことで社会的信用を低下させてしまったのではないでしょうか。

アメリカで起きているプライバシー侵害の民事訴訟の被告側であるグーグル社は原告に対し、「現代社会にプライバシーは存在しない」などと言っていることを考えると簡単には解決にいたらないでしょう。ましてやそこに、部落差別という問題があることを指摘したとしても、現段階では問題性すら理解されないかもしれません。

人権啓発や人権教育とは、そんな人々を育てないことであり、人を差別することに一度きりの貴重な人生の時間を費やしている人に、そのことの情けなさや哀れさを気づいてもらうものなのかもしれません。
そしてこれらを通じて感じることは「差別はいけない」という自覚をしていくことで問題の解決を図ろうとしても、「差別をしない」ということにはつながっていないということです。
 よって「差別をすることは自分にとって無意味なこと、また、デメリットにもなりうること」というところまで教育や啓発のレベルを引き上げていく必要があると思います。「無意味であり、デメリット」になるものであれば、そこに人生の貴重な時間を費やそうとはしないでしょう。これまでの取り組みとは違ったかたちでのアプローチも必要なことを実態から学びました。


インターネットという匿名の世界において、法的規制がない状態のなかで現れてくる差別的書き込みを行う人物の意識を是正できてこそ、差別の根絶につながるということが実態から提起されていると思います。

インターネットという道具に対するハード面での取り組みも重要ですが、何よりもそれを受けて差別的な利用をする人々がいるというところに着目し、問題の根本はどこにあるのかということの共通認識を図らなければ「もぐらたたき」状態がいつまでも続き、新たな機能が次々と導入されることで、新たなかたちでの差別や人権侵害が生じてしまうようになってしまいます。

「救済・予防・発見・支援・規制の法や条例措置、教育・啓発」などを国・行政・教育関係者・企業・市民・組織などが、「5W1H」で各々の責務を明確にして取り組む必要があります。
 また、これらを実行していくための「5W1H」も必要であることから、個々の行動力が問題解決の鍵であると私は感じています。

(まつむら もとき(財)反差別・人権研究所みえ)
http://www.kenkyu-mie.or.jp/ 研究所HP
http://www.kenkyu-mie.or.jp/topics/6.html 
インターネットから見える社会矛盾と人権(6)松村さんの連載ページ

●デジタル苦手?の地方自治体
    野々上愛 (高槻市議会議員)
今年8月5日から日本でのサービスがスタートした、グーグルストリートビュー。一部専門家の間では、警鐘を鳴らす議論もあったように聞いているが、特に自治体現場では全くノーマークのままスタートし、始まってみたら大騒ぎ、と言った状態だ。高槻市でも、市営施設敷地内がストリートビューで公開された箇所があり、グーグル社に削除依頼を行った。しかしこの把握、職員が主体的に行ったわけではなく、市民からの連絡ではじめて気づいたもので、市としてはストリートビューの不適切箇所のチェックはおろか、市民への呼びかけもままならない状況である。ニュース報道等で取り上げられるに至り、ようやく「市としても情報収集に努めている」と言った体制である。秒進分歩とも言われるデジタルの世界に対して、自治体の対応は極めてスロー。利便性とプライバシー保護と安全の間で、懊悩しながら業務を進めているわけだが、残念ながら市役所の現場は、プライバシー意識の変遷やネットワークの進歩には鈍感だ。グーグルストリートビュー、またグーグルマップにまつわる個人情報流出の問題は、まもなく始まる地方議会の12月議会では、ようやく全国的にテーマになりそうな気配だ。しかし、実際にその個別具体的な問題点を議会全体として共有できているかと言えば、まだまだ今後の課題である。全国に先駆けて意見書を提出した東京都町田市や、グーグル社への申し入れを行った東京都杉並区など、まだまだ一部の先進自治体での取り組みにとどまっているのが現状である。

 近年、自治体でも電子化政策は進んでいる。高槻市でも「e-たかつき計画」と題した自治体電子化政策を行っているのだが、一方でセキュリティ対策は進んでおらず、市役所内でも電算担当以外の職員のリテラシィは残念ながら低い。また広く市民にIT推進を呼びかける一方で安全対策の呼びかけは圧倒的に少ないのが現状である。近年では、住民基本台帳ネットワークサービスのICカードの多角利用に力を入れているが、一向に普及する兆しは見られない。それでもこの種の事業に大きな投資がなされるのは、コンピューター関連産業が公共事業化している、という背景を見過ごすわけには行かない。
 また、防犯カメラ設置の問題も、近年議論がなされている。デジタル監視社会がどんどん進行中なのだが、ちょっとおかしいな?と思っても“安心安全”と言う言葉に包まれて、声を上げるのは非常に困難になってきている。増え続ける監視カメラになすすべがないのが現状だ。

 さて、ストリートビューについて話を戻すと、今回グーグル社がストリートビュー作成の為に行った取材活動は、受け入れられないと思う。360度を写す特殊カメラで2.5mの位置から撮影された映像は、あくまで公道上からなので取り締まることは難しいと言う。しかし一般の人が2.5mのポールにカメラをつけて、住宅街をうろうろしようものならすぐに通報されてしまうだろう。おかしい、と思う感覚を声に出せる環境が社会には必要だ。その為にも技術革新と裏表のプライバシー侵害に対して、特に住民に寄り添う地方議会としては声を上げていかねばならないと思う。

ののうえ あい(高槻市議会議員)
http://www.nonoueai.net  市議のHP
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意見書が採択されたと聞き、その議論の経緯を追ってたどり着いた次第です。
誠に勝手ながら意見を述べさせて頂きます。

本稿におきまして、グーグルストリートビュー(以下SVと略す)の危険性につきまして、プライバシー権侵害や差別助長の恐れが指摘されております。

しかしながら、インターネット掲示板等における被差別部落の記載のような差別行為自体を取り締まるべきであって、それを助長するという曖昧な理由によって、表現の自由を簡単に制約することは不適当であると考えます。助長するものをもって差別をなくすという手段は、逆に他の人権を著しく侵害し、不適当な結果を招くということに、十分な検討がなされておりません。

差別助長という理由だけであれば、SVを撮影するために必要となるデジタルカメラや自動車、インターネット技術なども全てこれを助長するものであり、広範な規制が及ぶことになりますが、こういった広範な規制をすることなく、なぜSVにだけ焦点を当てて差別助長という理由を持ち出すか、その限界については何ら述べられておりません。これでは特定サービスを名指しする規制であり、行政法上極めて問題がある行為です。

SVに限らずカーナビゲーションシステムで利用される地図においても、同様のサービスはスタートしており、中には自治体向けに販売されているサービスもあります。

公道上からの撮影について禁止するということであれば、このようなサービスに対しても当然規制がかかるわけであり、SVのみを狙い撃ち規制するのであれば、平等原則に反する規制ということになります。

また、公道上から住宅を撮影することがプライバシー権の侵害になるという考えについては、プライバシー権の定義から導き出せないものであり、不適当であると考えます。

住宅というものはあくまで所有権や賃貸借権の下で使用しているに過ぎない物(ぶつ)であり、この物と特定個人の情報が紐付けられているならともかく、そうでない単なる住宅写真を規制することはプライバシー権の定義からは導き出せません。

もしこのようなことを規制するとなると、公道上において撮影したスナップ写真であっても、住宅の所有権者や賃貸借権者により、一方的に禁止することができるわけですが、所有権者が権利行使をすることはできないとする著作権法の万国共通の理解からも、非常に乖離した規制が可能になります。つまり、刑事罰をも持つ著作権法の規制よりもはるかに重い公的規制を明確な法で定められていないプライバシー権に基づいて行使するという、極めてアンバランスなことを実現してしまうことになります。

以上のような問題点について、なんらこの場にて指摘されていないどころか、場当たり的な問題点の列挙と安直な法規制論が議論されているのみであり、法に関する理解を著しく欠いているように思料します。

差別などの行為は許されないものですが、これまで差別を受けてきたような人々の権利すらさらに奪いかねないのが、本稿における提言であり、今回の意見書についてもよくよく見直されることをお願いするものであります。
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