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「ストリートビューというサービス開始の日ー爆発的に増殖する深刻な問題を見つめて」(26):北口学

 11月の末、「東京新聞」はグーグルストリートビューが首相官邸でも問題と議論されていると報じました。
 ぽつぽつと日本と同時にサービスを開始した豪州でも批判と抗議の動きがあると僅かな日本メディアも報じ始めてもいました。多くの問題が明らかになってきたグーグル・ストリートビューです。


 10月30日に「朝日新聞」の報道で広く世間に知られた「グーグル マイマップ」使用を原因とする膨大な個人情報のネット上での流出事件が、なんらグーグル社から効果的な対策も取られないまま、現在でも多くの個人情報を含む膨大な「マイ・マップ」がインターネット上で閲覧できる状態のままになっています。個人が作成し誰にでも閲覧可能になっているグーグル社の「マイマップ」、「名簿&東京都」などで検索すると報道後ですら重複はあるでしょうが20万件近く存在するとの検索結果が報告されています。日本全国ではどれほどの数が存在するのか空想すら恐ろしいと思えます。また、自分だけが閲覧できると思って「非公開」(最近グーグル社は「限定公開」という名称に変更した)設定にしていたにも関わらず検索で誰にでも閲覧可能状態になっている個人情報を含んだ名簿と地図情報は「名簿」という名称を付けて保存されているとは限りません。自作地図に本人だけが解る愛称や記号などを付けている人も多く存在すると思えます。事態は非常に深刻にもかかわらず、私にはグーグル社が適切で十分な対応を全くしていないと思えます。
 グーグル・マップやそれに連動するストリートビューは従来のインターネット上の地図サービスと決定的な差異があります。以前、「ヤフー地図」や「goo地図」を利用した時、ミスタイプなどをしてしまい地名以外の語句を検索窓に打ち込んでも「そのような地名はありません」との検索結果が表示されていました。しかしグーグル・マップとそれに連動するストリートビューでは「人名」や「電話番号」「建物の名前」「企業名や屋号」などで検索ヒットし地図上の地点をポイントするのです。過去のブログやHPなどネット上に存在する全てのデジタル情報をも検索し関連あると判断された情報を地図ソフトを活用して提供する機能とでもいいましょうか。
 このように古いデジタル情報が地図ソフトと連動すると空想すらしていなかった頃にネットで公開された情報群も抽出され表示されてしまうのに「うわぁ!」と戸惑う人は多いでしょう。
 建造物の名称を打ち込むと全国に存在する一覧や電話番号などが一瞬にして表示される機能も検索技術やテクノロジーの進歩によって実現されてきた新しいものと言えます。従来の検索エンジンに地図での表示機能と街角画像の閲覧機能が付加されたとも言えます。
 自作の「グーグル・マップ」は前述のように「誤解を生む」「欠陥と言えよう」と批判の多い「非公開(限定公開)」設定と、誰にでも見せられる「公開」設定、つまり多くの人に見て貰う目的で作成された地図への設定が選べるのですが、意図的で悪意の満ちた地図を作成して公開している例も多く見受けられます。「在日朝鮮人集住地域」「被差別部落」などの差別地図の公開は深刻な人権侵害であると言わざるを得ません。
 また、自分以外には誰にも見ることが出来ないと錯覚し県内の被差別部落の地域をバルーンで表示し住所情報を付記している「差別グーグル・マップ」が検索により発見される例も確認されています。人権活動家の家をマークしている悪質なものも存在します。
 ストリートビューと同種、同様に深刻な人権侵害と治安・安全上の問題が一杯の日本国産サービス「ロケーション・ビュー」は差別や人権侵害に活用される現状からか地名検索機能を停止していると聞きますがグーグル社はまったくなんの対応もいまだにしていません。
 上記のような深刻な問題が露呈していった11月初旬、新たな驚くべき事実がインターネット世界で話題となりました。
 「グーグル・マップ」と同様「非公開」であると信じて利用していた「グーグル・カレンダー」や画像保存閲覧ソフト「グーグル Picasa」も同様の問題を持っていると明らかになってきたのです。
 コンピューター雑誌の記者と思われる人の詳細な取材スケジュールや取材相手の企業名、取材相手の氏名、訪問の約束時間、原稿の締め切りスケジュールなどがびっしり書き込まれた閲覧可能な「グーグル・カレンダー」の存在もネット上で話題となっていました。最も深刻な事例は多くの弁護士がクライアントとの相談内容や個人名などを書き込んだまま多くの人に閲覧されている事例も話題でした。
 グーグル社のホームページでは「Picasa がパワーアップ。写真を整理、編集、印刷できる無料ソフトウェア。 Picasa ウェブ アルバム Uploader for Mac もお試しください ... Google の無料画像ソフトウェア、Picasa もお試しください Picasa でパソコンにある写真を整理、編集、 印刷・・・」などと利用を広く呼びかける表現がなされています。「無料で共有」という言葉に多くの人がその利用の危険性を知らないまま、プライベート写真が多くの人に見られている状態が存在します。大学卒業旅行と思われる若い女性たちの温泉旅行記録写真などが多数確認もされました。
 上記2点の深刻な問題はマスメディアがいまだ大きな報道をしていない部分ではないかと思います。
 グーグル社は「PDFファイルでも検索できる技術」「画像検索」「映像検索」など新しいテクノロジーを活用したサービスを提供というプレスリリースをこの間も発信しています。
 悪意を持って「グーグル・マップ」や「ストリート・ビュー」という機能を利用し人権侵害や差別に利用する例が続発している事をグーグル社は無視しているように見えます。
 衛星からの写真を活用した地図と連動した「グーグル・アース」というサービス、その画像をTVのニュースなどでご覧になった方も多いでしょう。
「CompyuterworlJP」ニュースはHPで下記のニュースを報じました。

 「ムンバイ南部テロ、実行犯は「Google Earth」を利用して逃走経路を確保か
「救援活動などにも役立つ」とグーグル弁解
(2008年12月02日)
 インド・ムンバイ南部の複数の地域で勃発したテロ攻撃の捜査担当者によれば、テロリストらは「Google Earth」の地図を利用して逃走経路を確保していたという。」
http://www.computerworld.jp/topics/web20/128669.html

 12月1日には「internetwatch」が下記のニュースをも配信しています。
「福岡県弁護士会は1日、Googleマップの「ストリートビュー」機能に対して、問題点の抜本的解決を早急に図るべきであり、それができない場合にはサービスの提供を中止するよう求める会長声明を、グーグルに対して送付するとともに、総務省と経済産業省にも参考送付した。」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/12/01/21716.html

 一度流出してしまったインターネット上の個人情報や写真はネット上から消し去ることは不可能と米国のPCやインターネットのプロ集団の試験でのレポートが先週報道されていました。
 非常に恐ろしい事が私企業であるグーグル社によって現在進行している事は間違いなさそうです。
 グーグル社は広告収入以外に目立った事業収入の道はありません。広告を掲載するスペースとして地図やストリートビュー・サービスを強引に展開していると思えます。多くの人の反対や危惧、膨大な個人情報の流出の現実を無視し、深刻な人権侵害や差別に活用されていることも知りながら何の対応もしていません。
 法規制や「新しい技術は芽を摘まぬよう」といったお気楽で人権問題など全くの無知、情けないとしか言いようのない経済産業省役人のコメントは驚愕です。米国では「インターネットが暴くプライバシー」と深刻な問題として自己防衛やセキュリティが活発に論議され問題視されている現状、侵害され続ける国民のプライバシーと人権にあまりに無配慮な姿勢とメディア報道を見て感じてしまいます。

 地図情報と広告、双方向デジタルメディアへの危惧と、360度パノラマ画像のネット公開に関する論考は次回に。
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