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[T32] 夜間中学その日その日(11):守口夜間中学 中本伸子

 夜間中学のある日の出来事に関連させて、考えていることを書いていこうと思う。執筆者は持ち回りで,変わっていく。  2008・6・28 連日の...

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夜間中学その日その日(12) :守口夜間中学 中本伸子

 夜間中学のある日の出来事に関連させて、考えていることを書いていこうと思う。執筆者は持ち回りで,変わっていく。

 2008・6・28 連日の街頭署名活動。(大阪・京橋)

 昨日の大阪市役所前での街頭署名では、今までにない生徒会の連帯を感じた。帰ってからの授業の中でも、「行ってよかったですわ」「今回のように、もっと夜間中学を知ってもらえるように、やりましょう。一回だけでは、夜間中学ってなんのこっちゃと、思うやろ。何回もやっていかなな。」と夜間中学生は、とっても元気。こちらが負けそう。
 日中はとても暑くて、帽子がないとたまらないという日だったが、快い疲労感だった。
 そんなこんなの翌日28日の京橋での署名活動。昨日は、近畿夜間中学校生徒会連合会の活動。今回は、守口夜間中学生徒会の活動と、連日にもかかわらず25名の夜間中学生が参加。教員併せて36名での街頭署名活動となった。27日は、各中学校合わせて110人の参加で790筆の署名が集まったが、今回は・・・。

 雨が心配される中、最初に「今回の目的は、署名を集めることだけではない。夜間中学校を広く知ってもらうためにやるのだから、みんなで声を出して頑張りましょう。」と檄が飛ばされ、活動が始まった。
 今回の大阪府橋下知事の予算案では、夜間中学に対して援助していた『給食費』『就学援助費(交通費等)』が削減、廃止という方向で盛り込まれている。もし、実施されれば、遠くから通ってきている夜間中学生にとっては、大きな打撃だ。大阪府民の80%〜90%の支持を得ているとされる橋下知事の1100億円支出削減案・・・。さて、どんな反応が返ってくるか、そして夜間中学生は思いを伝えられるのか。不安は尽きない。
 しかし・・・始まってみると、とにかく忙しい。京橋を行く人たちが、これほど多くて、これほど温かいとは思わなかった。

 守口夜間中学で発行している「つぼみ(いろいろな行事等を写真で紹介しているのだが、かなり大きい)」、今回のために作った削減反対の“ビジュアル横断幕”、そして幟と、これらを12、3人で持っていると、なかなか壮観だ。道行く人たちも、なんだろうと見ていく、覗き込むように見ていく人もいる。中には立ち止まって、質問する人も・・・。うれしい限りだ。やはり、今回の削減案に対しては反対している人も多いのだ。
 最初に聞いた声は
「おれは、絶対府民税は払わんぞ」―怒りが伝わってくる。署名はせずに去っていってしまったが・・・
 公務員だという人も
「私も、腹立ってるのよ。是非、頑張って! 人件費では、いつまで我慢させられるのかしらね」・・・
外国に住む人も母娘で署名してくれた―夜間中学生は、ローマ字にすごく興味を持って見ていた。ほんと探究心が旺盛。
 夜間中学生の説明を聞いて
「それは是非署名しなきゃ」―理解してくれる方が増えていく
 横浜からも、大津市からも、和歌山、北京からも賛同してくれる、大阪だけの問題ではないのだ。夜間中学生の汗が光る。

 今日は夜間中学生がハンドマイクを握り、訴えた。途中で交代し、何人かの夜間中学生が、府議会議長あての手紙を心をこめて読みあげる。

 ―「わたしは、ちいさいころからたくさんいじめにあいました。学校にいきませんでした。夜間中学校でいまは楽しく学んでいます。それなのに橋下知事の案で「しゅうがくえんじょ」が、へらされます。わたしたちは、どこで勉強したらいいのですか。学習権のほしょうのため、ぜひ協力してください。」

―「わたしは、日本人です。戦争の犠牲者です。父はあのむごたらしい戦争のため殺されました。この時から私は中国残留孤児となりました。まだとても小さいのに父の愛を失い、祖国の愛を失い、学校に行き学ぶ機会を失いました。
 日本政府の配慮により、2001年にやっと自らの祖国に帰ってきました。しかし日本語が出来ないと、生活するうえではどうにもなりません。まるで空気がなくなったようなものです。友達の紹介で守口夜間中学に入学しました。このときより私たちは希望を持つことが出来ました。」

 やはり、夜間中学生の声は小さくても説得力がある。人混みの中で、スピーカーの声は時としてかき消されていたようだが、夜間中学生の切実たる思いが伝わっていく。最後のほうでは、是非訴えたいと、自分の思いをその場でスピーカー片手に訴え始めた夜間中学生も出て来た。それも一人ではない。驚くほどの積極性で、これはやはり、ここまで来るまでの学習と団結力のおかげだと思う。みんなで闘っているという思いが、一人ひとりを強くしているのだ。それは又、夜間中学生の本当の姿でもあるはずだ。差別と闘い、世の中の理不尽と闘い、己の正義を訴えていくことのできる力を蓄えていく。よく弱者という言い方をする人がいるが、確かに社会の構成の中では、そういう位置に追いやられるのかもしれない。が、人間としてはとても強い。生き方も、思考も、妥協しない。それは、夜間中学校で学ぶからこそ、だ。そういう学びが夜間中学校にはある。

「署名用紙が足りないよ〜」
「もう用紙はないの?」

 なんと用紙が足りない。こんなはずでは・・・とうれしい悲鳴を上げながら、急いでコピーしに行く。
夜間中学生は、どんどん話し込み、名前を書いてもらう。駅で待ち合わせをしているグループにもどんどん売り込んでいく。バレーの試合の抽選会に行くという高校生にも署名をもらった。女の子も男の子も、とても素直だ。いろいろな事件が起こる昨今だが、彼らを見ていると、私たち大人がもっと住みやすい、生きやすい世の中を作ってやらねばと思う。大人の責任は重大だ。

 最終的には、300枚用意したビラも40分ほどでなくなり、約400筆の署名が1時間で集まった。署名の数は当然ながら、京橋を行く人たちの関心の高さがうれしい。これで、すこしでも夜間中学のことを理解してもらえただろうか。

 「大阪は、今、財政難なのだから」という声も聞いた。私たちも、それぞれが、どこかで我慢しなければと思っている。けれど、それが今回の削減案だとすれば、なんとも悲しいし、あまりにも安易すぎる。橋下知事は、「少数だけが受けるサービスは必要ない」という考えのようだが、実は、大阪府民は大きな塊でできているのではない。一人ひとりが集まって大阪府民なのだ。その一人ひとりの要望に応えようとしない行政とは何か。どこを見ているのか。言葉に踊らされてはならない。府民一人ひとりが、行政を監視する必要がある。そして、みんなで納得する案を作り出していかなければならないと思う。

 夜間中学生は、通りかかった二期生の激励も受けながら、署名活動をやりきったという満足した顔で京橋を後にした。

 大阪が財政難を理由に「人権」を軽視することに憚らなくなったとき、便乗して「人権」そのものを考えなくなる行政体制ができていく怖さを―私は感じている。
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 夜間中学のある日の出来事に関連させて、考えていることを書いていこうと思う。執筆者は持ち回りで,変わっていく。  2008・6・28 連日の...

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