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「米兵による相次ぐ事件事故と日米地位協定―沖縄の少女暴行事件とジェーンさんの闘い」2:服部良一

 沖縄女子中学生暴行事件の衝撃

年明けて二〇〇八年二月十日沖縄でまたしても米海兵隊員による女子中学生に対する誘拐・強姦事件が発生、衝撃が走った。誰もがあの十三年前、一九九五年九月の少女暴行事件を想起したに違いない。(続きを読む)

沖縄県警は米軍基地ゲートに緊急配備、キャンプ・コートニー所属のタイロン・ハドナット二等軍曹を現行犯逮捕した。従って日米地位協定十七条問題、すなわち容疑者の起訴前身柄引き渡し問題は今回は大きな問題にはならなかった。
しかしながらこの事件は一部週刊誌やインターネットによる心ない記事や書き込みもあって「そっとして欲しい」という本人や家族の声で被害届を取り下げ、加害米兵は不起訴処分、釈放になった。強姦罪が親告罪であるからだが、日本側は裁判権を放棄する結果となり、加害米兵を日本の法律で裁けない無念さが残った。
三月二三日土砂降りの中沖縄県民大会が持たれた。集会名も「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」とされた。事実、その事件後も米兵による不法行為が相次いでいた。女子中学生暴行事件から三月の県民大会までに沖縄で起きた米兵による事件だけでも以下の通りである。

 二月十七日 沖縄市で飲酒運転で逮捕(嘉手納基地・空軍所属)
    十八日 名護市で住居不法侵入で逮捕(キャンプ・シュワブ海兵隊員)
       フィリピン女性への暴行事件 (嘉手納に配備された陸軍パトリオット部隊)
    十九日 偽ドル紙幣作成容疑(牧港補給地区・海兵隊員)
三月  一日 覚醒剤取締法違反で逮捕(嘉手納基地所属軍属)
   二日 沖縄市県建設業協会事務所破損・住居侵入で逮捕(嘉手納基地所属上等兵)
   三日 北中城で盗難車で当て逃げ
   十七日 沖縄市タクシー強盗事件
 十九日 沖縄市タクシー現金窃盗事件 (家族・少年二人を逮捕)

米軍に綱紀粛正を申し入れてのこのざまである。こんなに立て続けに起きているのかとびっくりされるかもしれない、しかし事実防衛省に被害届けが出ている件数で見てみると、二〇〇六年度那覇地方協力局(旧那覇防衛施設局)管轄で九五三件もあり、約一日に三件発生している状況だ。むしろこの年は直近の五年で最低の発生件数だ。
ジェーンさんはこの女子中学生の事件に大きな衝撃を受けた。事件の報道後すぐ私にも電話があり、なにか行動をしたいという。在京の市民団体が米大使館に抗議に行った。その場にジェーンさんの姿はあった。
二月二一日には「米兵による事件事故の被害者とともに考える沖縄少女暴行事件を許さない院内集会」が沖縄の野党五名の国会議員と「米軍人軍属による事件被害者の会」の呼びかけでもたれた。初めてジェーンさんが自身の体験を語った。引き続き同じ会場で五名の女性国会議員の呼びかけの院内集会も持たれ、そこでも訴えた。
二月末米国ライス国務長官が訪日した。沖縄の事件に対する謝罪が予定されていた。ジェーンさんから電話があった。「ライス長官にレイプ被害者として手紙を直接渡したい。」さすがに唖然としたが、山内徳信参議院議員に相談すると、外務省のライス長官受け入れの担当課の職員がいるはずだから、ぶつけてみたらと言われた。被害者のこういう生の声を受けとめてストレートに行動を起こす、さすがだと関心した。早速電話を入れる。明らかに外務省の職員がとまどっているのがわかる。上司に相談すると言う。返事はこうだ、ライス長官の全日程は米大使館が把握している、外務省は日本政府との会議等の日程部分だけしか把握していないので、米大使館に直接言ってくれというものだった。あきらかに逃げ口上だが、これ以上外務省に言っても埒があかない。それをジェーンさんに伝えるとジェーンさんもしたたかだ。オーストラリア大使館から米大使館に伝えると言う。そして米大使館との折衝の結果、オーストラリア大使館からであればジェーンさんの手紙を受け取るということになったのである。
その直後の三月一日被害者の女子中学生が告訴を取り下げたという報道が伝わってきた。ジェーンさんは言った、「私が中学生の代わりに発言したい。かわいそう。中学生では言えないよ〜。」
 三月十三日国会近くの星陵会館ホールで「沖縄での米兵による少女・女性性暴力事件に抗議し、地位協定の抜本改正を求める緊急集会」が持たれた。ジェーンさんに声をかけた。ぜひ発言したいと言う。恐らく大衆集会で初めてだろう。その日は私とジェーンさんが一緒に登壇して訴えた。
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